荒川研究室では、行動認識の一環で、ウェアラブルIoTデバイスを用いて計測したデータから、メンタルヘルスを推定する研究を進めてきました。
Apple WatchやFitbitなどのウェアラブルセンサには、光学式脈波計、歩数計(加速度センサ)といったセンサが搭載されています。また、スマートフォンと連携することで、位置情報(移動)なども計測することが可能です。また、脈波や加速度から、睡眠状態を測ることも可能になっています。
そして、これらのデータを用いて、ストレスなどの内面的な状態を推定するという研究が進んでいます。まず、現在のストレス状態の計測方法について説明します。企業を対象とした産業保健領域では、質問票と言われるアンケートが用いられます。平成26年の改正労働安全衛生法により、50名以上の従業員がいる会社では、年1回のストレスチェックが義務化されています。働き方改革の浸透により、単にストレスを測るだけではなく、活き活きと仕事ができているかといったエンゲイジメントの測定なども急速に認知度が高まっています。
質問表の例 |
職業性簡易ストレス調査票 |
ワークエンゲージメント |
ワークモチベーション |
ワーカホリズム |
抑うつ気分 (Depression and Anxiety Mood Scale) |
生産性 (WHO-HPQ, 2013) |
リカバリー経験 |
自覚症調べ |
このような質問票に回答してもらいつつ、同時にウェアラブルIoTでさまざまなデータを計測してもうという実験を2018年から延べ企業10社以上、社員150名以上の方に協力していただき、実施しています。
研究室では、できるだけ簡単にデータ収集を行うためのプラットフォームWorkerSenseを開発するとともに、収集したデータから、脈拍や睡眠と、抑うつやエンゲイジメントの関係などを機械学習によって調査しています。
オフィスワーカの睡眠状況と労働衛生指標の関係性分析 Conference
情報処理学会第93回MBL研究会, vol. 2019-MBL-93, no. 22, 2019.
労働衛生に関するアンケートとモバイルセンサデータの統合的・継続的な収集 Conference
マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2019)シンポジウム, 情報処理学会, 2019.
オフィスワーカーの心身と環境センシングのためのアプリケーションの開発と評価 Conference
情報処理学会第91回MBL研究会, vol. 2019-MBL-91, no. 34, 2019.
生活リズムの類似性や周期性に基づく心身の健康状態の推定と予測 Conference
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム (UBI), vol. 2018, no. 1, 2018.
WHOQOL-BREF に基づくHRQOL 評価におけるスマートデバイスを用いた簡易計測手法の提案 Conference
マルチメディア, 分散協調とモバイルシンポジウム 2017 論文集, vol. 2017, 2017.
A method for simplified hrqol measurement by smart devices Proceedings Article
In: International Conference on Wireless Mobile Communication and Healthcare, pp. 91–98, Springer 2017.
健康寿命予測システムの実現に向けた HRQOL 簡易計測手法に関する一検討 Conference
2016 年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集, vol. 2016, 2016.