概要 / Overview

センサ・機械学習・ネットワーク・アプリケーションなどを複合的に組み合わせた,人に寄り添うサイバーフィジカルシステム(CPS: Cyber-Physical Systems)、ヒューマノフィリックシステムの研究を行っています.中でも,センサ(IoT)と機械学習(AI)を用いた人の行動認識に関する研究を軸としており,その実現のために新しいセンサの開発からアプリケーションの実装まで幅広く実施しています.近年では,行動認識の先にある研究として,情報技術による行動変容の励起と,行動変容を踏まえた社会ステムに関する研究に力を入れています.


情報の収集 / Sensing & Network

超小型ウェアラブルセンサSenStickを用いた動作センシング
SenStickは,代表的な8種類のMEMSセンサを超小型基板に実装した世界最小クラスのBLE搭載マルチセンシングボードおよび周辺ソフトウェアの総称です.電子工作をすることなく,購入後すぐに,IoTの本質であるデータ分析に注力できるように開発されました.iOS/Android向けのアプリケーションやNode.jsのライブラリを用いることで誰でも手軽にデータ計測が可能になります.小型かつスティック型という珍しい形状は,メガネやお箸,杖といった細長いモノや小さいモノをIoT化するのに向いています.ボタン電池駆動ではなく,リチャージャブルなLiPoバッテリを採用しています.また,BLEチップとして,Nordic社のnRF52を搭載しており,Cortex-M4Fによる高度なデータ処理も可能です.一般的なBLEセンサと異なり,大容量フラッシュメモリ(32Mバイト)をボード上に実装しているため,スマートフォン無しで連続ロギングが可能なことも特徴の一つです.そして,SenStickは,回路図,ファームウェア,周辺ソフトウェア,すべて大学の研究成果として公開しており,自身でファームを書き換えてオリジナルのセンサボードを開発することも可能です.
  1. Masashi Takata, Yugo Nakamura, Yohei Torigoe, Manato Fujimoto, Yutaka Arakawa, Keiichi Yasumoto, “Strikes-Thrusts Activity Recognition Using Wrist Sensor Towards Pervasive Kendo Support System,” WristSense’19 – Workshop on Sensing Systems and Applications using Wrist Worn Smart Devices, March 2019.
  2. Yugo Nakamura, Yutaka Arakawa, Takuya Kanehira, Masashi Fujiwara, and Keiichi Yasumoto, “SenStick: Comprehensive Sensing Platform with an Ultra Tiny All-In-One Sensor Board for IoT Research,” Journal of Sensors, vol. 2017, Article ID 6308302, 16 pages, 2017. doi:10.1155/2017/6308302
  3. Yugo Nakamura, Yutaka Arakawa, and Keiichi Yasumoto, “SenStick: A Rapid Prototyping Platform for Sensorizing Things,” The Ninth International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Networking (ICMU 2016), 4-6 Oct. 2016.
  4. Yugo Nakamura, Takuya Kanehira, Yutaka Arakawa, Keiichi Yasumoto, “SenStick 2: ultra tiny all-in-one sensor with wireless charging,” ACM Ubicomp 2016, Demo, pp. 337–340, Sep. 2016. (Best Demo Award)
  5. Yutaka Arakawa, “SenStick: Sensorize Every Things,” ACM Ubicomp 2015, Demo, pp.349–352, Sep. 2015.
Pupil/Tobiiを用いた視線の計測
人の状態を認識するために,目の動きをセンシングする研究があります.視線や瞳孔径を通じて,何に興味があるのか,どれくらい理解しているのかといった情報を紐解くことが可能です.計測デバイスはアイトラッカーと呼ばれ,パソコンに装着するものからウェアラブルのものまで市販されています.こうした装置を用いて,観光時の興味を計測したり,視線と連動したダイナミック教科書作成支援システムといったものを開発しています.
  1. Yuki Matsuda, Dmitrii Fedotov, Yuta Takahashi, Yutaka Arakawa, Keiichi Yasumoto, Wolfgang Minker, “EmoTour: Estimating Emotion and Satisfaction of Users Based on Behavioural Cues and Audio-Visual Data” MIDPI Sensors 2018, 18(11), 3978. (Impact factor: 2.475)
    https://doi.org/10.3390/s18113978
  2. Dmitrii Fedotov, Yuki Matsuda, Yuta Takahashi, Yutaka Arakawa, Keiichi Yasumoto, Wolfgang Minker, “Towards Real-Time Contextual Touristic Emotion and Satisfaction Estimation with Wearable Devices,” IEEE International Conference on Pervasive Computing and Communications (PerCom 2019), Demo, March 2019.
  3. Shoya Ishimaru, Ko Watanabe, Nicolas Großmann, Carina Heisel, Pascal Klein, Yutaka Arakawa, Jochen Kuhn and Andreas Dengel, “Demonstration of HyperMind Builder: Pervasive User Interface to Create Intelligent Interactive Documents,” Ubicomp/ISWC 2018, Oct. 2018.
参加型センシングアプリParmoSenseを用いた広域データ収集
公園の遊具情報や郵便ポストの集配時間など,Google Mapsなどのサービスでは検索できない街の情報はまだまだたくさんあります.このようなデータを効率的にセンシングする手法として,ユーザが持っているスマートフォンを活用する参加型センシングという概念があります.もちろん,アプリを配っただけではセンシングに協力してくれないため,報酬やゲーミフィケーションなどを組み込んで参加者のモチベーションをあげる必要があります.そこで,ゲーミフィケーションの機能を有する参加型センシングプラットフォームとしてParmoSense(パルモセンス)というものを開発しています.
  1. 河中祥吾, 松田裕貴, 諏訪博彦, 藤本まなと, 荒川豊, 安本 慶一, “観光客参加型センシングによる観光情報収集におけるゲーミフィケーションの有効性調査,” 情報処理学会 マルチメディア, 分散, 協調とモバイル (DICOMO2018) シンポジウム, 2018年7月4日-6日.
  2. 松田裕貴,河中祥吾,諏訪博彦,荒川豊,安本慶一, “ユーザ参加型センシングの割り込みに対する応答性調査 〜時空間データとタスク難易度およびユーザ属性による考察〜,” 情報処理学会 マルチメディア, 分散, 協調とモバイル (DICOMO2017) シンポジウム, 2017年6月28日-30日. (最優秀プレゼンテーション賞)
  3. Yutaka Arakawa and Yuki Matsuda, “[Invited Paper] Gamification mechanism for enhancing a participatory urban sensing: survey and practical results,” Journal of Information Processing, Vol.24, No.1, pp.31–38, Jan. 2016.
  4. 松田裕貴, 新井イスマイル, 荒川豊, 安本慶一, “スマートフォン搭載照度センサの個体差に対応した夜道における街灯照度推定値校正手法の提案,” 情報処理学会論文誌, Vol.57, No.2, pp. 520–531 , 2016年2月.
  5. Yoshitaka Ueyama, Morihiko Tamai, Yutaka Arakawa, and Keiichi Yasumoto, “Gamification-Based Incentive Mechanism for Participatory Sensing”, IEEE CROWDSENSING 2014 (First International Workshop on Crowdsensing Methods, Techniques, and Applications) in conjunction with IEEE PerCom 2014, pp.98–103, Mar. 24, 2014.
  • スマートフォンを用いた動作センシング
  • Fitbitを用いた長期的な歩数・心拍の観測
  • LoRaWANを用いた広域センシング
  • エナジーハーベストセンサの開発
  • 高速360度カメラを用いたマイクロ動作計測
  • ソーシャルデータによる都市センシング

認識・データ分析 / Data analysis

ストレス・QoL推定
人の内面的な状態,例えばストレスやQoL(Quality of Life)を推定するという研究を行っています.働き方改革のもと,労働者のストレスチェックは社会課題となっており,スマートフォンやウェアブルで簡単に自分の状態を知れるようにするというのがゴールとなります.これまで,QoLの調査には,WHOQOL-BREFなどの紙の質問票が用いられてきたのですが,この結果とセンサデータの相関会計を分析したところ,機械学習によってある程度認識できることを明らかにしました.今後は,実際の会社での実験や他の質問票(ワークエンゲージメントなど)への対応を行っていきます.
  1. Chishu Amenomori, Teruhiro Mizumoto, Hirohiko Suwa, Yutaka Arakawa, Keiichi Yasumoto, “A Method for Simplified HRQOL measurement by Smart Devices,” 7th EAI International Conference on Wireless Mobile Communication and Healthcare (MobiHealth 2017), November 2017.
  2. 雨森千周,水本旭洋,荒川豊,安本慶一, “WHOQOL-BREFに基づくHRQOL評価におけるスマートデバイスを用いた簡易計測手法の提案,” 情報処理学会 マルチメディア, 分散, 協調とモバイル (DICOMO2017) シンポジウム, 2017年6月28日-30日. (優秀プレゼンテーション賞)
姿勢認識チェア
オフィスワーカーが座り過ぎすることによって,腰痛や肩こりを引き起こすことが知られています.そのため,自身の体型にあうように椅子を調整することが重要であり,市場にはさまざまな高機能チェアが販売されています.しかしながら,実際,その椅子の上で,どのような姿勢で作業をしているのか,本当に良い姿勢になっているのか,という定量的な計測が行われていません.そこで,我々は常時姿勢センシングが可能な椅子を開発しました.
  1. Yasuhiro Otoda, Teruhiro Mizumoto, Yutaka Arakawa, Chihiro Nakajima, Mitsuhiro Kohana, Motohiro Uenishi, and Keiichi Yasumoto, “Census: Continuous Posture Sensing Chair for Office Workers,” 2018 IEEE International Conference on Consumer Electronics (ICCE), January 2018.
  2. 音田恭宏, 水本旭洋,荒川周造,小花光広,中島千尋,上西基弘,荒川豊,安本慶一, “着座姿勢に基づくワークプレイスの高機能化の検討,” 情報処理学会全国大会, 6T-05, 2017年3月18日.
  3. 音田恭宏, 水本旭洋, 荒川豊, 荒川周造, 中島千尋, 小花光広, 上西基弘, 安本慶一, “椅子に装着したモーションセンサを用いた着座姿勢推定手法,” 電子情報通信学会ライフインテリジェンスとオフィス情報システム研究会, 2017年3月2日, 石垣市.
エナジーハーベスト場所推定
オフィスビルの中で,どこにどれくらいいたかという情報を把握することで,喫煙所に行く回数や会議の数といったものを客観的に把握し,自身の行動を振り返り改善していくことができます.屋内の場所推定には,さまざまな手法があるのですが,いずれも電源が問題となります.そこで,太陽電池などのエナジーハーベスト素子を電源,かつ,センサとして用いることで,充電不要の場所推定手法を提案しています.本研究は,トップ会議IEEE PerCom2019にフルペーパー採択されました.
  1. Yoshinori Umetsu, Yugo Nakamura, Yutaka Arakawa, Manato Fujimoto, Hirohiko Suwa, “EHAAS: Energy Harvesters As A Sensor for Place Recognition on Wearables,” IEEE International Conference on Pervasive Computing and Communications (PerCom 2019), Full paper, March 2019.
  2. Yutaka Arakawa, Yoshinori Umetsu, Yugo Nakamura, Manato Fujimoto, Hirohiko Suwa, Keiichi Yasumoto, “Poster: Feasibility Study toward a Battery-free Place Recognition System based on Solar Cells,” Ubicomp/ISWC 2018, Oct. 2018.
  3. 梅津雅吉, 中村 優吾, 荒川豊, 藤本まなと, 諏訪博彦, 安本慶一, “EHAAS : 環境発電素子の発電量に基づくウェアラブル場所推定システム,” 情報処理学会 マルチメディア, 分散, 協調とモバイル (DICOMO2018) シンポジウム, 2018年7月4日-6日.
  4. 梅津雅吉, 中村 優吾, 荒川豊, 藤本まなと, 諏訪博彦, 安本慶一, “環境発電素子の発電量に基づくコンテキスト認識手法の提案,”
    情報処理学会第87回モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム研究会, 2018年5月25日. (奨励発表賞)
  5. 梅津雅吉, 藤原 聖司, 中村 優吾, 藤本 まなと, 荒川豊, 安本慶一, “環境発電素子の発電量に基づく屋内行動認識システムの検討,” 電子情報通信学会総合大会, ISS特別企画「学生ポスターセッション」, No.ISS-SP-063, p.178, 2018年3月20日. (優秀ポスター賞)
  • 行動・動作推定
  • 機器の動作認識(IoTセキュリティ)
  • 最適通知制御

応用 / Application & Service

行動変容支援システム(Behavior Change Support System)
Apple Watchのアクティビティリマインダのように,情報機器が人間に対して,働きかけ,次の行動を変化させるということが現実のものになろうとしています.行動を変えられるこうした情報機器を,生活習慣病予防のDigital Medicineと呼ぶこともあり,今後,社会に広まっていくと考えられます.我々は,通りかかる人に能動的に話しかけるデジタルサイネージを開発し,日々の対話の中で行動変容を喚起することができるかについて実証的研究を行っています.
  1. Zhihua Zhang, Yuta Takahashi, Manato Fujimoto, Yutaka Arakawa, Keiichi Yasumoto, “Investigating Effects of Interactive-signage-based Stimulation for Promoting Behavior Change,” Computational Intelligence Journal (Conditionally accepted)
  2. Zhihua Zhang, Yutaka Arakawa, Harri Oinas-kukkonen, “Design of Behavior Change Environment with Interactive Signage Having Active Talk Function,” PerPersuasion’19 – 1st International Workshop on Pervasive Persuasive System for Behavior Change, March 2019.
  3. Zhihua Zhang, Yuta Takahashi, Manato Fujimoto, Keiichi Yasumoto, and Yutaka Arakawa, “Investigating User Reactions to Interactive-signage-based Stimulation Toward Behavior Change,” 11th International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Network (ICMU), Oct. 2018.
  4. 張志華, 高橋雄太, 藤本まなと, 荒川豊, 安本 慶一, “行動変容を誘発するインタラクティブサイネージへのユーザの反応調査,” 情報処理学会 マルチメディア, 分散, 協調とモバイル (DICOMO2018) シンポジウム, 2018年7月4日-6日.
ウォーキング支援
健康志向の高まりから,ウォーキングをする人が増加しています.しかしながら,適切なペースで歩かなければ,心臓への負担が大きくなる危険があります.そこで,過去の運動履歴や経路の勾配情報から,歩く前に未来の心拍を予測し,その予測に基づいた最適な経路を提示するウォーキング支援システムを開発しました.さらに,音楽の速度を絶妙に変化させることで,歩行者のペースを無意識に変化させることができるシステムも開発しています.
  1. Atsushi Otsubo, Hirohiko Suwa, Yutaka Arakawa, Keiichi Yasumoto, ”BeatSync: Walking Pace Control through Beat Synchronization between Music and Walking,” IEEE International Conference on Pervasive Computing and Communications (PerCom 2019), Demo, March 2019.
  2. 大坪敦, 諏訪博彦, 荒川豊, 安本慶一, “音楽の引き込み効果を用いた歩行ペース誘導アプリの検討,” 情報処理学会関西支部大会, 2018年9月30日.
  3. Shogo Maenaka, Hirohiko Suwa, Yutaka Arakawa, and Keiichi Yasumoto, “Heart Rate Prediction for Easy Walking Route Planning,” SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration, Vol.11, No.4, pp.284–291, July 2018.
  4. Shogo Maenaka, Hirohiko Suwa, Yutaka Arakawa, and Keiichi Yasumoto, “Recommending Optimal Route for Walking Support based Heart Rate Prediction,” The Second International Workshop on Smart Sensing Systems (IWSSS’17) , August 2017.
  5. 前中省吾, 諏訪博彦, 荒川豊, 安本慶一, “ウォーキング支援のための心拍数予測に基づいた最適経路探索手法,” 情報処理学会 マルチメディア, 分散, 協調とモバイル (DICOMO2015) シンポジウム, pp. 1186 — 1193, 2015年7月. (優秀論文賞)
  • スマートオフィス
  • スマートハウスにおける最適家電制御
  • アマチュア写真家支援
  • 介護記録作成支援
  • 筋トレ支援
  • マイマップ検索システム

過去のテーマ / Past topics

  • 2010- : Wireless near field communication based on UDP broadcast.
  • 2009- : Indoor positioning method with WiFi mesh network
  • 2007-2008 : Pre-downloaded Contents Delivery Network based on P2P communication.
  • 2007-2008 : uGrid (Ubiquitous Grid) network and its applications (wall display, IP over everything)
  • 2007-2008 : High speed path calculation method with a dynamic reconfigurable processor DAPDNA2
  • 2001-2006 : QoS control method on Optical Burst Switching Network
  • 2000-2001 : Packet discarding method in ATM networks